沖縄の助産婦、海をあるく(4)そもそもHPVワクチンは必要か

トルネイドまーりー

 ミモザの花に彩られ、国際女性デーがやってきた。女性たちの声は届いたか?学校や職場に。自治体や国政に。NO!といわざるを得ない現状がある。
 那覇で、子宮頸がんを予防するとされているHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンで健康被害を受けた当事者のお話を聞いた。彼女たちは国と製薬会社2社に損害賠償を求める集団訴訟を2016年、東京、名古屋、大阪、福岡4地裁で一斉に提訴。現在の原告は117名。痙攣や歩行不調などの運動系障害、激しい痛みなどの感覚系障害、発熱などの自律神経や内分泌障害、学習障害など多様な症状に苦しんでいる。被害者の実数は不明だ。患者会に相談が一万件寄せられた。症状が遅発で、ワクチン接種との関連に気づいてない人がいる。また、てんかん等の誤診もある。
 原告の梅本美有さんは2024年1月、福岡地裁で被害の実態を訴えた。2月、那覇のお話会に杖をついて現れ、接種から10年経つ今も痛みのない日はない、痛みのないからだを思い出せないと語った。高校一年、3回目接種の数日後に歩けないほどの痛みに襲われ、整形外科を受診した。CT、レントゲンを撮り、湿布を渡されただけ。総合病院で異常なしとされ、「肩に注射をうったのに、なぜ足が痛くなるのか?」とばかにされた。内臓が捻り上がるほどの痛みに救急車を呼んだが、「ワクチンの副反応だ」と伝えると、点滴が終わったら追い返された。心因性と決めつけられ、まともに診てくれる医師がいなかった。

 転機は、鹿児島大学で、医師から副反応の脳炎だと言われたとき。10年前には不明だったことが解明されつつある。HPVワクチンによる抗体が脳に影響し、免疫介在性の神経障害が起こる。裁判で、国も製薬会社もHPVワクチンの副反応を認めていない。しかし昨年の専門家証言で病理学、免疫学の専門家がワクチン副反応のシグナルがたくさんあると証言。また、積極的勧奨が2022年に再開になり、厚労省が安全性の根拠だと主張する名古屋スタディで、HPVワクチンと副反応の因果関係を否定するのは、統計の誤用だとの指摘もある。
 なぜ公費で無償でワクチンを打てるのか? 積極的勧奨や接種の努力義務のある予防接種法のA類にHPV感染症が含まれているからだ。A類は結核、風疹、麻疹など集団予防に重点がおかれ、感染すると重症化する可能性の高いものが対象。HPVの主な感染経路は性交渉で、飛沫やエアロゾルでは感染しない。性交経験のある女性の80%がHPVに感染するが、90%が2年以内に自然排出し、持続感染する人は10%。前がん状態から、正常細胞に戻ることがある。数年から10数年かけて浸潤がんになる率はわずか0・15%だ。2020年、子宮頸がんの死亡数は2887人で、5年相対生存率は76・5%。他の部位のがんに比べ、怖れるほどでないと思う。

 アメリカ疾病予防管理センターの「性感染症ガイドライン2021」には、第1次予防に、HPVワクチンの他、三つ示されている。「①コンドームの適切な使用②SEXパートナーの数の制限③性活動の自制」。そして、第2次予防は検診である。日本は検診の受診率が43・6%と低い。欧米の半分しか受診していない。ここが課題だ。検診で早期発見し治療すれば、完治できる。また、がん化の原因が、HPV単独とは考えにくい。喫煙や、免疫力の低下、長期にわたるピルの内服等も指摘されている。日本は1970年代以降、ワクチンなしで検診と衛生状況の改善により、子宮頸がんによる死亡数を減らしてきたのだ。
 産婦人科医師の打出喜義氏は、「HPV感染症はA類から、積極的勧奨や接種の努力義務がないB 類に移すべき、第1次予防の①から③と、検診により、子宮頸がんの予防は十分できる。HPV ワクチンは不要だ」と主張する。

 沖縄にいると利権の構造がよくみえる。WHO はフェアな組織ではない。スポンサーに多く製薬会社がついている。また、厚労省や自治体が安全だといえば、親も子も、信じてしまう。A類のため、接種対象年齢者に市町村から「お知らせ」や「予診票」が送られてくる。
 自戒を込めて言いたい。医療従事者は国策に加担させられる。助産師が小学生対象の性教育の場でHPVワクチンの必要性を教えている動画を見た。日本の公教育では、まともな包括的性教育が行われない。数々の歯止めがあり、小学生にSEXを教えてはいけないことになっている。HPV感染の本体はSEX なのに、SEXを抜きにどうやって予防を教えるのだろう。セーファーSEXを教えず、いきなりワクチン接種を奨めるのは、整合性がないといえよう。

(現代の理論 2024春号)

*アイキャッチ画像は Wikimedia Commons より