「言論空間」の読者のみなさまの中には「マスコミ市民」という月刊誌を読んだり、あるいは聞いたりしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。「マスコミ市民」はジャーナリストと市民を結ぶ月刊誌として1967年に創刊し、今年の3月に686号をもって59年間の歩みを休めました。毎月、政治や社会、経済、人権などの問題についてジャーナリストや学者、市民活動をしている人たちに執筆をしていただきました。そのバックボーンにあるのは、権力の暴走を許さず、権力の隠す“不都合な真実” を明らかにしていこうという「志」だったと思います。

 戦後81年目のことし2月に自民党・高市首相が有権者に白紙委任状を突き付けた総選挙で大勝したことで、私たちは大きな逆風にさらされています。「戦争ができる国」から「戦争をする国」へとアクセルを踏み出した高市政権に対して、言葉の力で抗い続けていかなければならない時に、休刊を余儀なくされたことに「マスコミ市民」の編集委員一同忸怩たる思いがありました。

 ですから最終号には「私たちの闘いは永遠に続くのだと思います。少なくとも、日本が戦争をしない国になるまでは、闘わざるを得ないと思っています。子どもたちや孫たちに平和な社会を残していくために、マスコミ市民の精神を胸に秘めて権力と闘っていきたいと思います」と決意を記したのです。

NPOとしては活動を継続するものの、進むべき道を模索していた私たちに「一緒にやりませんか」と声をかけてくれたのが「言論空間」の編集委員のみなさんでした。時代と切り結ぶ市民社会の「言論空間」。その“空間” に私たちを招いてくれたのです。

 “空間”というと物理的にも精神的にも広々としたものを連想します。そこには狭隘な精神ではなく、寛容の精神があります。そして時間という縦軸と、社会の広がりの横軸があります。その空間を言葉で満たしていく、そういう試みを続けてきた「言論空間」の活動に、「マスコミ市民」で培ってきた活動が加わることで、この空間をより豊かにする力になれるのではないか・・・そう考えた私たちはご好意に甘えて、この空間に飛び込んでいくことにさせていただきました。

自由な空間とはいえ、そこには絶対に入れてはいけないものが戦争と、社会の中での差別であることは、みなさまと私たちの共通の認識だと思います。私たちは「マスコミ市民」の長年の蓄積を生かして、「言論空間」の一層の充実のために力を尽くしていきたいと思います。読者のみなさま、これからどうぞよろしくお願いいたします。

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