季刊『言論空間』2026春号
2月総選挙結果は想定をはるかに超えるものであった。この事態をどう考え、今後対応するのかが特集1のテーマであり、5人の方々の力作をいただいた。重い現実があり、論議も真剣で、視点も論点も多種多様。出来れば肩ひじ張らずに、論争にも、編集にものぞみたいと思っていた。この状況を一言でどう表現するか。特集の三上治さん(本文30頁)の見出し「驚き、桃の木、山椒の木」を見て、思わず私は笑ってしまった。
前号(冬号)の「扉」でも、高市暴走政治を指摘したが、その高市首相の信任投票の様相で圧勝したわけであるから、国民的基盤のレベルで国民意識の変容が進んでいることが顕在化した。日本の歴史の転換点である。5人の方々の問題提起を考え、「言論空間」の編集では論争と対話の企画を重視したいと思った。
もう一つの特集はリニア、静岡の会員の企画。リニア新幹線は2017年開業予定で始まった。無理を承知でJR東海はさらに巨費を投入。断層破水帯を抱え最難関工事と言われる南アルプストンネル工事はまだ着工されていない。ボーリング調査は山梨県側で始まり、その結果を判断し、今年静岡県側からも始まる。大きな分岐点で、この企画を採用した。私は整理と問題点を十分出した報告になったと思う。感謝、感謝です。リニアは「開発」と「自然環境=エコロジー」との対立がぎりぎりの点まで煮詰まった典型である。これからの社会についてヘゲモニーのあり方に注目したい。(米・イスラエルのイラン攻撃拡大を聞きながら)。
編集長 山田勝
【特集1 高市圧勝・野党惨敗とこれからの展望-私の意見】
■〝倫理的中道〟の下、良識と理性を持つ人々との幅広い連携を
小林 正弥(千葉大学教授)
■重層的で100年単位のシステム危機 時代を担う左派ヘゲモニーの力を
木下 ちがや(政治学者)
■有権者の世代交代と時代に適応できない左派・リベラル派
大井 赤亥(政治学者)
■地域から「信じられる未来」を構想する
佐々木 寛(新潟国際大学教授)
■驚き、桃ノ木、山椒の木というけれど―これが現実である
三上 治(「流砂」編集長)
【特集2 リニア―南アルプス・トンネル掘削工事が焦点に】
■二正面作戦で2027年開通は延期
松谷 清(静岡市議会議員)
■大きないのちの循環の中でリニアトンネルを考える
服部 隆(ナウシカ山の会)
■「大井川の水は譲れない」と62万人運動
村野 雪(大井川の水を守る62万人運動事務局)
【論考】
■トランプ政治の力の限界とベネズエラ政府の立ち位置
新藤 通弘(ラテンアメリカ現代史研究家)
■ウクライナ戦争ー開戦から4年―ついに最終局面
下斗米 伸夫(神奈川大特別招聘教授・法政大名誉教授)
■大井川と住民に寄り添った静岡・川勝県政を見直す
樫田 秀樹(ジャーナリスト)
■人里と山の境界線の再構築を 冬のクマ語り
大穂 耕一郎(くまのたいら企画代表・秋田県在住)
■社会問題としての児童虐待
木村 秀(共立女子大学家政学部児童学科)
■ホテル併設型ひとり親家庭向けシェアハウス
松田 舞(一般社団法人みをつくし代表理事)
■最高裁も「違憲状態」なら議席増か
中川 登志男(茅ヶ崎市民連合事務局長)
■多くの女性たちが「我がこと」として立ち上がった
もろ 悦子(明日をつくる女性の会)
■「偽装統計が証拠にされた生活保護施策」を徹底検証せよ
白井 康彦(フリージャーナリスト)
■原発の本質的欠陥を見ない「規制の虜」たち
山口 幸男(NPO法人原子力資料情報室)
■明治三年の非暴力抵抗運動 御門訴事件の夢
牧子嘉丸(文芸誌『トルソー』同人)
【連載】
■かっこいいおんなになるために。 仮想社会のジェンダー平等
松元 ちえ(ジャーナリスト)
■話題の文学 真実は闇の中か?
尾張 はじめ(葦牙の会)
■現代の非理論 「日本史」は二ホン史?ニッポン史?
松本 仁一(ジャーナリスト・元朝日新聞編集委員)
■沖縄の助産婦、海を渡る 「女性の休日」In 沖縄
トルネイドまーりー(助産師)
■メディア季報 総選挙結果から見えた、時代の様相
石井 彰(放送作家)
■レキオからの便り 2025年沖縄映画「未完の日本型民主主義」考
鈴木 次(自由学園)
■ドイツに暮らす 「お化け西東ー異界と人間」
フックス真理子(ドイツ在住)
■東洋医学こぼれ話 三焦について(その1)
大木 一史(薬剤師・鍼灸師)
■感じる映画たち 移民・難民をめぐるアイデンティティーの喪失と再生
加田 斎(フリー編集者)
■定説を疑え!経済の行方を読み解く
国主導の「危機管理・成長投資」の高市経済政策は破綻する
蜂谷 隆(経済ジャーナリスト)


